■ 欲しがったのはなりゆきです

 一日に何回好きといえば、この思いが全部伝わるのだろう。そんなことをふと考えて、ブン太は呟くようにすき、と言ってみた。その台詞が聞こえたのか聞こえなかったのか、どちらかはわからないけれど仁王の目元がほんの一瞬少しだけ弛んだ気がした。

 お昼休みの束の間の逢瀬はかなりの確率で延長される。実際今も予鈴が鳴り響いて、既に五分以上は経過している。
 サボり常習犯の烙印を有り難くもいただいた仁王とブン太はしょっちゅうサボる割に人並みの成績をとるので教師陣からすれば完全に持て余す他ないらしい。最初こそ毎回小言をくらっていたものだが最近はそんなこともめっきりなくなった。

「ブンちゃん、次の授業ってなんじゃったっけ」
「たぶんこてん」
「ん―じゃあ別にサボってもかまわんな―…どうせ授業出ても寝るだけじゃし」

 ブン太の腰に抱き付いて離れようとしない仁王はブン太の胸に顔を埋めるとぐりぐりと頭を押し付ける。
 人並み外れたバストを誇るブン太の胸は仁王のお気に入りの一つで、仁王は隙あらば触れようとしてくる。ブン太も別に触られるのが嫌いというわけではなく(どちらかというと羞恥による抵抗が大きい)最近は好きにさせることが多い。
 仁王曰わく「抵抗された方が燃える」らしいがそんなこと知ったこっちゃないブン太は大体はスルーを決め込むことにしていた。

 そんな仁王が顔を埋めたまま動かなくなったので、ブン太は不審に思い仁王の顔を覗き込んだ。

「どうしたんだよぃ?おまえがなんもしてこね―なんてめずらしいな」
「ん―ちょっと考え事しちょった」
「考え事?」
「…ブンちゃんおこらんときいてくれる?」
「…まあ、内容によるな」

 仁王は少しの間考える素振りを見せたが、意を決したように口を開いた。

「俺ってブンちゃんのおっぱい触るとき制服の上からじゃろ?」
「それがどうかしたのか?」
「…なまでさわったらあかん?」

「……は?」

 だから、直接ブンちゃんのおっぱいさわりたいんじゃ、と仁王は今まで見たことのないような真剣な顔でブン太を見つめた。
「あ―…ごめん、冗談、今のなかったことにしてくんしゃい」

 ブン太が怒ったと思ったのか、仁王はそれきり黙り込んでしまった。これも珍しく、反省しているようだ。

「べつにおこってはないけどよ…そんなに違うもんなのか?制服の上からと、直接とじゃ」
「そりゃあ直接さわったほうがあったかいし、やわらかいし」

 目をそらしつつも力説する仁王にブン太はなんだかおかしくなって、思わず笑ってしまった。

「そんなにさわりたいなら触ってもいいぜ?へるもんでもなし」
「え、ほんまに?」

 刹那に目を輝かせる仁王を不覚にも可愛いと思ってしまった。そうしてブン太は制服の下に手をつっこんで、ブラのホックを外した。

「じゃ、お好きにど―ぞ」

 仁王の手が迷いなくシャツの裾からブン太の胸にのびる。
 その手は乳輪の周りにくるくると円を描き、胸特有のふにふにとした弾力を味わっているようだった。

「あ―俺めっちゃいま幸せじゃ―…」
「おまえの幸せは胸からの供給でみたされんのか…」
「ブンちゃんのおっぱいさわってるだけで十分幸せなんじゃよ」
「……へんなの」

 胸を執拗に触る仁王の指先が乳首の先端を掠めたときだ、ブン太の肩がびくりとはねた。

「あ、ブンちゃんちくびよわい?」
「わ、わるいか」

 仁王が意地の悪い笑みを浮かべたのでブン太は嫌な予感がし、急いで身を捩る。しかしタイミングが一瞬遅く、あっさりと仁王に引き寄せられてしまった。

「ばっそこばっかさわんな…ぁ、ッ」
「そんなこというて、気持ちいいんじゃろ?」

 いやいやと首を横にふるブン太の頭を撫でつつ、依然仁王は胸を弄る手を止めようとはしない。

「ぁ、ッうぁ…っ!」

 慣れない刺激にブン太は肩を震わせ快感をやり過ごす。

「我慢せんで、力ぬいて?その方が楽じゃき」
「ん、ッわかった…」

 余裕のないブン太の様子に、仁王も少しずつ我慢がきかなくなってきた。

「ブンちゃんさ、もっときもちいいコト、したいと思わん?」

 ブン太の答えを聞くよりも先に、仁王はコンクリートの上にゆっくりとブン太を押し倒した。



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つみき様リク、仁×にょたブンで甘甘というリクエストでしたがまったく甘甘になってないという至極残念な結果ですo..rz
挙げ句の果てにひたすら乳の話になったのですがこれは単に相楽が乳話が好きなだけでございます。
長い間お待たせした挙げ句のこの所業ですから殴りとばしてくださっても構いません…本当にどう謝罪すればよいのやら……
と、とにもかくにも、upが遅くなってしまい申し訳ありませんでした…!

それではつみき様、素敵なリクエストありがとうございました!



2012/9/10
御題は魔女のおはなし様より



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