■ 世界を切り取るようにきみだけに恋をしました

 人前でいちゃつくことを躊躇わないカップルというのは大体が以下の二通りに分けられる。
 周りから殺意及び怨念の意志を露骨に向けられるか、又は入り込む隙がなさすぎてなかば腫れ物扱いされるかだ。
 しかし真田と幸村に至ってはその二通りのどちらにも当てはまらなかった。
 誰もが羨む理想のカップル。それが二人の関係。

 校内で幸村が誰と付き合うか、というのは入学当初から議論の種になっていたようで、正に高嶺の花という位置にいた幸村が真田と付き合い始めたときはなかなかに周りの驚きも大きかったようだ。

「真田、一緒にお昼食べよ」

 弁当を片手に幸村が真田の教室に訪れればまるで花が散るような甘い雰囲気の中で二人のランチタイムが始まる。

「はい真田、あ―ん」
「それぐらい自分で食べられる」
「いいから、口開けて」
「む……」

 おずおずと口を開ける真田に幸村はお手製の玉子焼きを押し込む。

「っていうか今日の合同練習さ、折角だから男女混合ダブルスしてみない?」
「俺は構わないが…幸村はともかく、他の女テニ部員の体力が持たないんじゃないか?」
「まあ混合ダブルスは三年生だけにするし、ブン太と仁王ぐらいなら余裕でしょ」

 ジャッカルと丸井、柳生と仁王といえば同学年で有名なバカップルの一例だ。

「ま、ど―せ俺たちが勝つだろうけどね」
「当たり前だ、俺達の前に敵などおらん」

 本来はシングルスプレイヤーであるというのに、二人の自身は計り知れない。

「じゃあ早速三年の連中に連絡してくるよ」
「待て幸村、」
「ん、なに?」

 真田は幸村の頬に自身の顔を寄せると、頬についた米粒をぺろりと舌ですくいとった。

「頬に米粒をつけたままでははしたないだろう」
「ありがと。じゃあ行ってくるね」

 お返しとばかりに幸村は真田の額に口付けを落とすと、ご機嫌な様子で教室をあとにした。


***


 混合ダブルスは見事に真田、幸村ペアが勝利をおさめ、幸村はご満悦気味だった。

「ね、真田。ご褒美のちゅ―して」
「む、帰ってからでいいだろう」
「だ―め、今がい―の」
「しようがないな…」

 周りの視線などお構いなしにコートの真ん中で口付ける真田と幸村に対する周りの反応は相変わらずで。

 甘い一時に浸る幸村の頬は桃色に染まり、幸せに満ちていた。



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あい様リク、真にょた幸で甘甘バカップルでした!
これでもかというぐらいにいちゃつかせてみました。真田が寛容すぎる気もしますが幸村に逆らえるわけもないということにしていただけたらと思います。
完成が遅れてしまい大変申し訳ありませんでした…!

それではあい様、素敵なリクエストありがとうございました!



2012/9/2
御題は幸福様より


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