■ セーラー服で殺伐
※幸村女装注意
目の前に翳されたそれに幸村は目を見開いた。
「えっと…、それを俺にどうしろと…」
「着ろ」
明らかに今目の前に見えるのはまあ所謂セーラー服というもので、男である幸村が着るものではないはずの代物なのだが。
「まさか罰ゲームって……」
「無論、これを着ることだ」
遡ること十分前。突如始まったじゃんけん大会に見事幸村は惨敗し、あらかじめ決められていたらしい罰ゲームをすることになった。
一番抜けの赤也に罰ゲーム内容を指定する権利が与えられ、つまりは幸村の運命は赤也に委ねられたのだ。
「これ、前文化祭で使ってたやつの残りなんすけど、…」
……そうして今に至る。
「ねぇ、本当に着るの?」
「往生際が悪いな幸村、」
「……っわかったよ。着ればいいんだろ着れば!」
幸村は誰とも視線を合わせないように目を伏せながら素早く着替えると、これで満足かといった風に皆の方を振り返った。
「これ短い…、ッ…」
「そりゃ女子の着用するものだからな」
「でも部長似合ってますって!」
「そういう問題じゃない!!」
足から下に酷く違和感を感じる。毎日女子はこんなものをはいているというのか、と幸村は驚愕にも似た感情を抱いた。
「もう満足しただろ。……着替える」
幸村がスカートのフックを外そうとしたところで真田の手と手が重なる。
「まぁ待て」
「折角の機会ですし、」
するりと太股を撫でられて、嫌な予感がした幸村は反射的に身を引く、しかし。
「まだ罰ゲームは終わってないっすよ」
「諦めて最後まで付き合え」
真田と赤也の下心が手に取るように透けて見えて、幸村は怒りより先に諦めに染まった瞳で二人を見上げた。
「あとでどうなっても知らないからね」
「その格好で悪態をついても逆効果にしかならんぞ」
「―…っ…!!」
顔を真っ赤にした幸村はスカートの裾をぎゅっと握り締めて、大きく溜め息を吐き出した。
end.
2012/1/29
2012/9/30 加筆修正
御題は自惚れてんじゃねぇよ様より
[
prev /
next ]
11/303