■ 君はきっと僕が好きなんだよ
「あ…のさ、動けないんだけど…」
前後からがっちりと体をホールドされ、不二はかなり困惑していた。
「不二が苦しそうじゃないか、離しなよ白石」
「なにいうてんの?離すのはそっちやろ幸村クン」
どちらかというとどちらからも解放されたい不二は二人のやり取りに口を出すタイミングを見失い、交互に二人の顔を見やる。
「ねぇ、不二はどっちが離すべきだと思う?」
「なにいうてん、不二は俺と離れたら泣いてまうかもしれんやろ!」
「そっちこそなにいってんの?不二は俺と一緒にいないと生きていけないの!」
二人のわけのわからない不毛な争いにいい加減疲れが見えてきて、もうなんでもいいやと不二は狸寝入りすることに決め目を閉じた。
「ちょっ不二クン寝てもうたやん」
「寝顔もほんと可愛いよね…」
「よし、どっちが不二クンをベッドまでお姫様だっこするかジャンケンで決めよか」
「その勝負、うけてたってあげるよ」
突如始まったジャンケン勝負の行方を知ることなく、不二はそのまま夢の世界へと旅立った。
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2012/8/31
御題はポケットに拳銃様より
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