■ そんな可愛い顔しないで

 甘いシャンプーの香りがする、柔らかな赤髪に顔をうずめる。

「ほんまこうしとると落ち着く…」
「あんまひっつくな馬鹿、髪型くずれるだろぃ」

 今日のブン太は少し高めのツインテールだ。肩上の髪を無理矢理あげているため、セットが大変だったらしい。

「やっぱブンちゃんはかわいいの―」
「かっかわいくね―し!お世辞とかいらない…っ」
「お世辞じゃのうて、俺が可愛いて思ったから言っただけじゃよ」

 顔を真っ赤にしたブン太が仁王を見つめ、ほんとか?と上目遣いに聞いてくる。

「ほんとじゃて、ブンちゃんは自分で思っとるよりずっと可愛いき」
「……だってまえさ、あんまし仲良くない女子にあんたは不細工だって、言われたから……」
「そんなん、ブンちゃんが可愛いからひがんで言ったにきまっとうよ。みんなが羨ましがるくらいブンちゃんは可愛いっちゅうことじゃよ、な?」
「……うん、ありがと」

 精一杯背伸びをして可愛く見てほしいと、そんな姿も可愛いけれど、やっぱり自然な目線でいた方がいい。

「でもあんまブンちゃんが可愛すぎたら変な虫がついて困るき、それ以上可愛くならんとって」

 仁王がそう言えばブン太がはにかんで、仁王をぎゅっと抱き締めた。




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2012/8/29
御題はポケットに拳銃様より


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