■ 反対言葉の愛の唄
「反対言葉でゲームしようか」
「…反対言葉?」
「今からは絶対思ってることの反対しか言っちゃだめだよ」
一言もやるなんて言っていないのに、いつのまにかゲームは始まってしまったようだ。
「宿題したい」
「……俺は宿題はしなくていいと思っている」
「真田は格好いいね」
「…そういうおまえは可愛いな」
くだらない会話の応酬を続けるが、いまいち終わりが見えてこない。
「このゲームはどうしたら終了なんだ?」
「あ、あきた?俺もちょっとあきてたところ」
じゃあ次で最後ね、と幸村が言う。
「俺、真田のこと世界で一番大っ嫌いだから」
「お、俺だって嫌いだ!」
じゃあこのゲームは終わり、とあっさり反対言葉の遊びは終わって、幸村は笑みをこぼしながら真田に抱き付く。
「世界の誰よりも、俺は真田がすきだよ」
「言われんでもわかっとるわ」
幸村の髪を撫でると幸村は咲きたての花みたいにはにかんで、真田もつられて口元がゆるんだ。
(なにあれ、新しい遊びかよぃ?)
(バカップルのすることはほんとわけわからんに、みなかったことにするんが一番じゃ)
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2012/8/29
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