■ SHTとその訳
久し振りの休日だからもっとゆっくり寝ていたかったのだけれど、今日はそうにもいかない。否、今日も、といった方が正しいかもしれない。
泊まりにきていた真田の姿はすでになく、布団と着替えがきっちりとたたまれ部屋の隅に寄せてあった。
きっと朝のトレーニングにでもでかけたのだろう。まあその内帰ってくるだろうと、幸村は目をこすりこすりリビングへとおりる。
ソファに腰掛けて慣れた手つきでテレビをつけると、アナウンサーがご当地の食材云々の宣伝をしていた。
俺が見たいのはこれではなくて、とチャンネルを二つ三つまわせばお目当ての番組に切り替わる。時間はジャスト。
幸村がソファに座り直すと同時に玄関の扉が開く音が聞こえた。
「幸村、おきていたのか」
「今おきたとこだよ」
「何か見るのか?」
「ああ、今からSTHなんだ」
「…そのえすなんとやらは一体何の番組なんだ?」
「真田知らないの?スーパーヒーロータイム」
幸村がテレビを指差すとレッドを中心とした正義の見方が次々と敵を薙ぎ倒していくオープニングが流れていた。
「幼い頃に少し見たきりだが…そんなに面白いものなのか?」
「子ども向けと思って侮っちゃいけないよ。ほんと、おもしろいから。一緒にみよ」
「折角の機会だ、俺も視聴させてもらおう」
お決まりの展開であるのに、どこかドラマ的面白さをはらんだそれに真田はすっかり魅入られてしまった。
「ね、いったでしょ?」
「まさかここまでとは…特撮を子ども向けのものだと言って敬遠するのは間違いだったわけか…」
すっかり童心に返った真田は毎週視聴することを心に決め、とりあえず今は空腹を満たすべく朝食をとることにした。
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2012/8/28
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