■ におうくんのしっぽ
朝起きたらしっぽが生えていた。
何かの間違いだと思っておそるおそる引っ張ってみれば、しっぽと一緒に皮膚もくっついてくる。
真っ黒で毛並みのいい猫のしっぽ。仁王に生えるはずのないそれ。
「…うそ、」
軽く尻に力をこめればしっぽがゆらりと頼りなげに揺れる。
時間的に学校に行かなければならない時刻が刻一刻と迫っていたが今はそれどころではない。とにかく、このしっぽをどうにかしなければ。
悩んでいてもどうしようもないので、とりあえずしっぽはズボンにつっこみなんとか違和感がない程度に整える。
しっぽは割と仁王の意志とは関係なく動くようで、ズボンの中がひどくくすぐったい。
しかしとやかく言っていられないほどに時間が迫っていたので仁王は鞄を肩にひっかけると勢いよく家を飛び出した。
今朝はたまたま朝練がなかったからよかったものの明日からは通常通り朝練があるし、朝練いぜんに今日の部活をどう乗り切ればよいのだろうか。そんなことばかりがぐるぐると頭の中を回る。
部活中は半パンでしっぽははみ出てしまうに違いないし。それは流石にまずい。
不本意ではあるが、ここは今一番頼りになりそうな人間に相談する他ない。
「……めずらしいな、おまえが頼み事なんて」
データ整理に勤しんでいた柳を捕まえ、仁王は柳を空き教室へと引きずり込んだ。
「参謀ぐらいしか頼りになるやつがいないんじゃ…っ」
仁王はズボンからしっぽを取り出すと、くるりと体を半回転させて柳に背を向ける。
「これは……」
仁王の尻からのびる尻尾に流石の柳も思わず息をのむ。
「なんとかならんかの、これ」
しっぽに指を絡めながら仁王が俯いていると、柳は何を思ったのか仁王のしっぽを強く掴んだ。
「ひゃん…っ!」
「ほぅ……神経は通っているようだな、」
「あ、あんま強くつかまんで……っ」
途中で挫折しましたo..rz
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2012/8/24
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