■ 蜂蜜よりも甘い愚考
部室の中を小さなありんこたちが長蛇の大名行列をなしていた。
「……うわ―…」
ありさんたちは迷うことなくある一点へと向かっている。そう、ブン太のロッカーへと。
仁王がおそるおそるそこを開けると乱雑に色々なものが突っ込まれたロッカーの中央に、食べかけと思われるお菓子の袋がおいてあった。あろうことか密封をすることもなく袋の口は開きっぱなしだ。
どこから侵入したのかは定かではないが、大量の蟻はそこを中心に群がっているのであった。
こんな現場を真田に目撃されようものならばブン太の命はないだろう。とにかく餌になっている菓子袋を回収して、箒でありんこどもを掃いて仁王はなんとかその場をしのいだ。
ようやくありんこをはきおえ仁王が箒をなおしていた時だ。いつも通りガムを膨らませながらブン太が部室にやってきた。
「ブンちゃんのロッカーにありんこが群がっとったんやけど」
「え、まじ?」
「一応追い払っといたき、真田にはばれんやろうけどロッカーに食べかけのお菓子を放っておくんは衛生的にもまずいんやなか?」
「ちょっとまった仁王。俺未開封の菓子は置いて帰ったけどあけた覚えはねぇよ?」
「……確か昨日ブン太より後に部室に残っていたのは……」
赤也だ、
仁王とブン太は互いに目配せをし、タイミングよく部室にやってきた赤也にとびっきりの笑顔でとびかかった。
(ちょっなんでつまみぐいしたってばれてるんスか!?)
(覚悟しろ赤也、俺たちがみっちりお仕置きしてやる)
(ぎゃあぁぁぁ―っ!!)
-----
2012/8/23
御題は誰花様より
[
prev /
next ]
171/303