■ 君はすべてに優しすぎた

 いざそういう雰囲気になるとどうしても顔をそらしてしまう。視線を、合わせられないのだ。

「……不二?」
「…ごめん、」

 幸村の胸に顔をうずめて、不二は小さく謝罪の言葉をもらす。
「別に無理して俺に合わせなくても大丈夫だから、嫌なら嫌ってちゃんと言ってね?」
「ありがと……幸村君はやっぱり優しいや」
「……やさしくなんて、ないよ。全然」

 不二が顔をあげた瞬間に幸村は不二の唇を奪った。男のものとは到底思えない、柔らかい唇。重ねるだけにとどまらず軽く舌先を吸われて、いよいよ逃げられなくなる。

「俺はいつも不二とこんなことしたいって思ってる、」
「……ッ…!」

 あまりに突然のキスに、不二は柄にもなく狼狽える。

「…ごめん、調子のった」
「……ねぇ、幸村くん」
「ん、なに?」

 もういっかい、して。

 上目遣いにそう言えば、どこでそんな誘い文句覚えてきたの?と少々面食らった顔をされて、次の瞬間には再び唇を塞がれていた。

「幸村くん、すき」
「俺も、好きだよ。不二」

 舌先から溶けていくみたいな甘い甘いキスに、溺れてしまいそう。



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2012/8/22
御題はたとえば僕が様より


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