■ 触れ合う鼓動に眩暈


 独り言だと思って下さい。

 別に付き合うのが悪いとか、そういうわけじゃないんです。ただ……


「お願いですからこのような場でそういうことをするのはやめてください!」


 日吉はさきほどから周りの目も省みず部室でいちゃつきまくる跡部と忍足を視界の隅に捉えては居心地の悪さを身にひしひしと感じていた。質の悪いことにこの人たちは二人の世界に入り込んだらなかなか戻ってこない。
 搾り出された日吉の声に、跡部と忍足の視線が一斉に日吉に移る。

「なんだ日吉、おまえもいれてほしいのか?」
「なっ違いますよ!俺が言っているのはそうじゃなくてですね…!」
「そ―かそ―か。それやったら一緒にまぜたるからそんなコワい顔せんといて」
「おっ忍足さんも離してくださいッ」
「ひよは甘えん坊やからなぁ、景ちゃんとられてすねとったんやろ?」
「いいように解釈しないでください!」
「ほら日吉、俺様の膝をかしてやる」

 半強制的に跡部の膝に座らされた日吉はさらに所在なさげに身を縮こまらせた。
 忍足と向かい合う形の日吉が耐えきれず跡部の膝から立ち上がりかけたその時だ。あろうことか、忍足が跡部に口付けた。

「……!?」
「やっぱひよには刺激が強すぎたんちゃう?」
「なっ…な、……ッ」
 日吉ははくはくと何度も口を開閉させて、さらに顔を真っ赤にする。

「そっそういうのは二人きりのときだけにしてくださいって……っ!」

 忍足と跡部は驚いたように顔を見合わせるとくすりと笑った。

「二人きりのときはもっと激しいことするからなぁ…」
「なんなら今度おまえもまぜてやろうか?」

「―…結構です!!」



 きっとこの人たちには羞恥心とかいう言葉は存在しないのだ、と自分に言い聞かせて日吉は諦めの色が滲んだ溜め息を吐き出した。



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ぷらひよ様に参加させていただきました!



2012/7/27
御題は幸福様より


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