■ 指先から伝わる

「俺、真田の指好き」

 真田の右手を弄りながら幸村が唐突に呟いた。
 いまいちどう反応すればよいかわからない真田は困惑気味に首を捻って見せた。

「そうか?」
「うん。俺みたいに女っぽくないし。骨とかさ、マメとか」

 指全体を撫ぜるように幸村が指先を滑らせる。
 そう言う幸村だって真田と同じ様に手はマメだらけであるし、骨だって太い。それなのに幸村は酷く羨ましそうに真田の手を眺めるのだ。

「手、広げてよ」

 幸村に言われるがままに手を広げれば、真田よりも一回り小さい手が重ねられる。

「真田の手は大きいね」

 重ねた手のひらから幸村の体温がじわりと伝わってくる。

 そのまま指を絡めて、どちらからともなくキスを交わした。



end.
2012/1/27
2012/9/30 加筆修正



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