■ 束縛ごっこ
あとがつかないようにタオルを巻いた上からそこそこの強度を誇る紐でぐるぐるぐるぐると。
「はい、完成」
「流石参謀、相変わらずはやいの―」
身じろいでもびくともしない両腕を上下にふりながら仁王が柳を見上げる。
二人分の体重に耐えきれずにぎしぎしと軋みをあげるベッド。柳は面白そうに口元に笑みを浮かべながら仁王の両腕を頭の上にあげ、そのまま押し倒した。
「さあ、自力で解けたら約束通りおまえの要望にこたえてやろう」
「約束じゃよ?」
「俺は一度した約束は破らない質なんだ」
仁王は指を少しずつ別方向にずらしながら拘束を解こうと試みる。が、そう簡単にとけるはずもなく両腕を縛る紐は動く度に仁王の手首にぐいぐいと食い込んでくる。
「参謀、また腕あげたんちゃう?」
「お褒めに与り光栄だ。ちなみにあと時間は三分をきっている」
「え?ほんまに?」
確か前回は仁王の勝利で幕を閉じた記憶があるが、今回は敗北の予感。
束縛ごっこ
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2012/7/21
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