■ お互いの熱は確認済み
意識が途切れる手前、最後に見たのは照りつける灼熱の太陽だった。
「…ん…、…」
「おや、目が覚めましたか」
額にひやりと冷たいものを感じて、仁王は思わず目を細めた。
目の前にいた柳生の手をとって頬にあてたら同じくひんやりとしていて気持ちが良かった。
「やぎゅうのて、つめたい」
「私が冷たいのではなくて、貴方が熱っぽいだけですよ」
まだ熱がこもっているようですね、と柳生を仁王の額に手をあてながら言う。
「ていうか、俺なんで保健室おるん?」
「部活中に仁王くんがぶっ倒れたからですよ。ここまで運ぶの大変だったんですから」
もう一度柳生の手を握る。冷たくて、気持ちいい。まるで人間保冷剤だ。
「ちょっとの間でいいき、このままにしとって」
柳生の手を片頬に押し付けながら仁王は目を閉じる。きっとあと一眠りでもすればよくなっているだろう。
熱中症になりました、なんていえばまた真田に説教されてしまう……そんなことは目が覚めてから考えるとして、今は柳生の手の温度を感じていたかった。
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2012/7/19
御題は魔女のおはなし様より
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