■ 駄目だって言われたことほどしたくなるその心理
まあ所謂“そういうこと”を初めて体験したのは確か中二の夏頃だったような気がする。丁度その時期に保健の授業で性教育云々をやったのをきっかけに中途半端な知識を元に実践に臨んだわけだ。今思えば本当に阿呆としかいいようがない。
そんな阿呆の戯れ事に巻き込まれた真田も同じく、幸村ほどではないが阿呆だった。
二人とも性そのものに興味があったことは否めないし、流石の真田も表ではくだらないと言ってはいるけど思春期真っ只中の男子中学生であるのにかわりはないのだ。
「真田、一応精通は済んでるよね?」
「お、おぅ」
幸村はどこから調達してきたのか手慣れない手つきでゴムのパッケージを破ると恐る恐る中身を出す。
「これつけるんだよね…?」
「まあそういうことになるな」
と、今更ながらに幸村の顔が青ざめる。真田がやはりやめるか?と問うと幸村が違う違う、と首を振って、本当に今更なことを口走った。
「っていうかどっちが女役やるか決めてないじゃん!」
むしろ本気で野郎同士でやるつもりだったのか、というツッコミは綺麗に流され幸村は拳を無意味に握り締めた。
真田はてっきり疑似体験的な感じで抜き合いでもするかと思っていたのだ。
まさかどちらかがどちらかにつっこんでどうなんて、そんな発想は微塵もなかった。
「じゃあ真田、じゃんけんしよう!」
負けたら女役ね、と真田の了承もないままに双方の命運を分けるじゃんけんが半強制的に行われることになったわけだが。
「男なら、負けたら潔く。文句無しだからね」
「……わかっとる」
そうして最初は、の掛け声で始まったじゃんけんは結局のところ。
「潔く、だろう」
「わかってるよ―…真田いつも絶対に最初にぐー出すから確実に勝てると思ってたのに……」
「文句無しと言ったのは幸村だ」
「これは文句じゃなくて愚痴っていうんだよ」
こうして見事幸村に勝利した真田は晴れて男役をすることになったわけだ。
最終的にこの後主導権を握るのは幸村となるわけなのだが、それはまた別の話。
end.
2012/9/30 加筆修正
御題は自惚れてんじゃねぇよ様より
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