■ この想いの正体は

※高2と小4

「兄ちゃんみて!」

 花丸のつけられたテストをかざしながら赤也が満面の笑みを浮かべる。
「頑張ったじゃないか赤也」
 赤也の頭をなでながら蓮二も同じく微笑む。
「兄ちゃんが教えてくれた通りにやったらすらすらとけた!」
 興奮を抑えられないらしい赤也はぶんぶんと腕を上下に振る。
「では百点をとったご褒美に、なにかひとつ赤也の好きなものを買ってやろう」
「ほんと!?」

 何にしようか、と早速悩み始める赤也に蓮二はゲーム機の類を頼まれやしないかと一抹の不安を抱いたが言ったからにはきいてやらなくては、と改めて思い直す。
「決まったらいつでも言ってきたらいい」
「わかった!」


数日後、
 赤也の頼みに蓮二は目を丸くした。
「本当にそれでいいのか?」
「すごい色々迷ったけど…一番やりたかったことでもあるし、」
「そうか。じゃあ来週の日曜日にでも一緒に買いに行こう」

 赤也は蓮二と一緒にクレープを食べに行きたいと言った。赤也のいうクレープとは隣町にあるわりと繁盛しているクレープ屋のことをさしていて、値段の割に美味しいということでなかなかに人気のある店なのだ。
「兄ちゃん受験ってやつで忙しくなっちゃうだろ?だから今の内に兄ちゃんと遊んでおきたいなって」

 なんだかむずがゆい気持ちになって、蓮二は意味もなく赤也の髪をくしゃりと乱す。
 赤也はその行為が蓮二の照れ隠しであることを知っているのでもう嫌がることもしない。むしろ蓮二に頭を撫でられるのは好きだった。
「ありがとう、赤也」
 赤也の気遣いに蓮二は胸が一杯になる。





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2012/3/12
御題は邂逅と輪廻様より

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