■ 揺れて浮かんで瞬いて

 甘えるみたいにじゃれついてくる赤也は柳の腰に抱きついてはしきりに頬を擦り寄せてくる。

「おまえは見ていて飽きないな」
「へ?どういうことっスか?」
「言葉の通りだよ」

 きょとん顔の赤也に柳は小さく笑って、軽く抱き締め返す。
 癖の強い髪の毛に指を絡めて優しく撫でつけると、赤也は気持ち良さげに目を閉じてみせた。

「やなぎ先輩に撫でられるの俺、好き」
「知っているよ」

 軽く引っ張ったり梳いてみたり、赤也の髪は幸村と同じく大いに遊びがいがある。

「柳先輩の髪は、俺と違ってさらさらっスね」

 赤也が柳の髪に指を絡めても、すぐにするりとすり抜けてしまう。
 次第にそれをするのにも飽きたようで、今度はキスを強請ってきた。

「本当に我が儘だな、赤也は」
「柳先輩だからですよ、」
「本当か?」

 無意識の内に他人に甘えるのを得手としているのに、赤也は気付いているのだろうか。

「俺以外には甘えてくれるなよ」
「わかってますって!」

 自信満々に吐き出されたその台詞の信憑性は56パーセントといったところだろうか。

 要は甘え上手なのも心配を増やす種のひとつ、ということだ。



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2012/3/18
御題はDiscolo様より

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