■ キスだけで恋人ごっこですか

※28、赤柳前提

 背徳感より先にただただ目の前の柳に翻弄される自分が酷く恥ずかしい。

「駄目、です……柳くんだって切原くんという恋人がいるでしょう……っ?」
「とはいえ俺もおまえと同じ、受け入れる側だ。受け入れる者同士、たまにはタチにまわりたいというのは男として当たり前の本能だとは思わないか?」
「柳くんの理論がまかり通ったとして何故私が女役をしなければいけないんですか!」
「勿論後で交代するぞ?」
「とかなんとか言ってどうせ足腰立たなくなるまでやるんでしょう?」
「……流石にそう簡単に騙されてはくれないか」
「あたりまえです!」

 そんなやりとりをしている間に柳の手はシャツの裾を捲って、綺麗に整えられた爪の先で柳生の脇腹をつつ…となぞる。
 仁王に散々開発されてしまった体は本人の意志とは関係無く僅かな刺激にも過敏に反応してしまうわけで。

「口で嫌がってはいるが……期待しているんだろう?」
「……ッ…」
「大人しくしていれば痛いことはしないさ」
「……仁王くんにバレたら後々で面倒ですから、痕だけは残さないでくださいね」
「わかっている、」

 肌の上を伝っていく感触に柳生はぎゅう、と手先に力をこめて耐えるがどうしても声がもれてしまい、それを防ごうと口元を両手で押さえるが思うようにいかない。

「はぅ…ん、…んんっ…」
「別段、声を殺さなくても平気だぞ?」
「柳くんが平気でも私はちが…あっあぁ、…!」
「本当に感度がいいんだな、仁王もよくもここまで……」
「い、いまは仁王くんの名前は出さないで……!」

 背徳感、後ろめたさ。それが醍醐味だぞ?なんて柳はいうけれど。

「キスでもしようか?」
「キスしても、私は仁王くんのものですから」
「……言われなくても知っているさ」





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2012/4/5
御題は魔女のおはなし様より

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