■ つまりあなたを離せない

 珍しく柳生が甘えてくるものだからつい嬉しくなってキスをねだったら一回だけですよ、と釘をさしつつもあっさりと了承してくれた。
「やぎゅ、かわい」
 ちゅ、とついばむように仁王がキスを降らせばくすぐったいです、と柳生がかぶりを振る。
 柳生は深いキスよりフレンチキスの方が好きらしく、柳生にとってのキスはつまりフレンチキスであるのだ。
「ね、柳生。舌いれていい?」
「駄目、です」
「なんで?」
「だって仁王くんとすると…その、」
「なんじゃ?」
「……したく、なる…ので」
「ほぅ、」
 仁王はすうっと目を細めて、顔を真っ赤にして俯く柳生の額に口付ける。
「俺はかまわんよ?柳生と、シたいき」
「で、も……」
 仁王は柳生の腕をひいて腰に手を回すと身じろぎひとつできないほどにぎゅう、と抱き締める。
「恥ずかしいんなら目、つむったらええじゃろ」
「は、い……」
「……ん、いいこ、」


 そう、甘いキスは始まりの合図。





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2012/4/2
御題は魔女のおはなし様より

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