■ もっともっと頂戴?

「柳生、いい匂いするき」
 ふいに背後から抱きすくめられ、項の辺りに顔が埋められる。首の後ろに鈍い痛みを感じて柳生は抵抗紛いに仁王の手の甲に後ろ手に爪をたてた。
「発情するのは結構ですが流石に部室でそういうことは―…って、聞いているんですか仁王くん!!」
「小言を聞くのは勘弁じゃき」
 そう言ってするりと侵入してきた腕がジャージの隙間から柳生の脇腹を悪戯に掠めていく。
「そんなこといって、本当は欲しがっとるじゃろ?」
「ば、馬鹿なこと言わないでくださ……ッ!」
 言葉とは裏腹に仁王の指先が肌の上を滑る度に柳生の体が微かに震える。
「可愛えのう……」
 先日の情事を思い起こさせるように仁王が愛撫を順になぞる。おそらく、いや確実にわざとやっているであろう仁王を肩越しに振り返って睨み付けるが逆に煽ってしまったようで、仁王は口端を少しつりあげて柳生の目尻にたまっている涙を拭った。
「…ッにお、く……ん」
「こっから先は、おあずけじゃ」
「え…ッ…」
 耳元で甘く囁かれて、柳生の肩がびくりと震える。
「ここでやるなら、話は別にじゃが」
 疼き始めた熱がおさまる気配はなく、仁王の誘いに容易くのってしまう自分が恨めしい。
「あまり…意地悪しないでください」
「柳生がそんな可愛い反応するき、やめられん」
「……相変わらず馬鹿ですね、貴方も……私も」

 知らず知らずの内に重なった唇はじわりじわりと柳生を浸食していく。





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2012/3/9
御題は輝く空に向日葵の愛を様より

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