■ ためらう暇はない

「つくづく馬鹿だねぇ君も、文次郎や小平太の次に馬鹿だよ」
 思い切り傷口に軟膏を塗りたくられ三郎の表情が歪む。
「あの…もう少し優しくしていただけませんか…?」
「何贅沢言ってるの?これでも十分優しくしてあげてるんだけど?」
 三郎はぶつぶつと文句を言いつつも大人しく腕を差し出す。
「毒なんて塗られてたら今頃意識不明で生死彷徨っているとこだよ。悪運強くてよかったね―」
 あまりにも投げやりな言いぐさに三郎はがっくりとうなだれる。
「今後気を付けます」
「よろしい。……あいつらにも君ぐらいの素直さがあれば文句ないんだけどなぁ…」
 そうぼやきながらも傷だらけの腕に器用に包帯が巻かれていく。
「どれくらいで治りますかコレ?」
「鉢屋だと大体一週間あれば治ると思う。おまえ人より異様に治りはやいから」

 包帯ぐらい自分でまき直せるよね?ときれかけの包帯を手渡される。
「不破にでも頼んで巻いてもらいなさい」
「は―い」

 三郎は保健室を出ると動かし辛い腕をぶんぶんと振り回し、小さく息を吐き出した。


end.
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I'll do the rest.の続きでした。
雷蔵に包帯巻いてもらえるなら怪我をしたかいがあったかも、なんて考えてる三郎さんです。

御題はDiscolo様より

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