■ 乞わせて狂わせて、
ひた隠しに押し込めた感情はいつしか暗い影を落とし、ひたひたと伊作を浸食し始める。
「三禁を犯そうなんて、今まで考えたこともなかった」
丁寧に畳まれた制服を部屋の隅に寄せ、仙蔵は少し恥ずかしそうに顔を伏せる。
「今は僕だけを見ればいいよ。僕に身を委ねればいいんだ」
愛しさを堪えきれず重ねた唇はほんの僅かな甘さを残して、伊作を少しずつ犯していく。
「…好きだ」
「知ってるよ」
ぎゅう、と指先に力が籠もり、首筋に艶やかな黒髪がかかる。
はっきりと、確かな体温を感じたかった。
「……ッ、んんっ」
強く噛みすぎるせいで下唇から滲む血が酷く愛おしい。
「声、抑えないで」
「嫌、だ」
羞恥心が勝るらしい、仙蔵は頭を振ると伊作の背中にぎりりと爪を立てる。
「仙蔵、もうちょっと力抜いて」
伊作がやんわりと指を這わせると仙蔵の背中が弓なりにしなる。
「ま、だ無理…っ」
「大丈夫、こわがらなくていいから」
――このまま僕に夢中になればいいんだよ
優しい手の内で溺れて、愛しい手に囚われて、
乞わせて狂わせて、
(揺れる恋心を包む温もりに狂わされた僕なんて)
end.
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微エロを目指して撃沈しました(笑)
御題は空想アリア様より
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