■ 君を嫌えない矛盾

「こら小平太、早く起きろ」
 たたいても揺すっても目を覚まさない小平太に痺れをきらした仙蔵は無理矢理布団を引き剥がす。
「ん―…、あと一刻だけ待って…」
「もうこれ以上は待たん」
「えぇ――」
「ほら、早く顔を洗ってこい」
「いやだ―っ」
 小平太は数回寝返りを打った後、思い付いたとばかりに勢い良く体を起こした。
「仙ちゃんも一緒に寝ればいいじゃないか!」
「阿呆、悪ふざけも大概に…ってうわっ!!」
 小平太に思い切り腕をひかれ、仙蔵は前のめりに倒れる。
「仙ちゃんいいにおいがする、」
「馬鹿!離せ…っ!!」
 折角整えた髪をもみくちゃにされ仙蔵は諦めたようにぴたりと抵抗を止める。
「…もう一刻たったぞ」
「しょうがない、おきるか!」

 毎朝小平太を相手している長次は大変だな、と仙蔵は他人事のように考えた後、深々と溜め息を吐いた。


end.
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忍務でいなくなる長次から小平太の世話を頼まれた仙蔵の話でした。
SS企画も第九弾です。
小平太の“仙ちゃん”呼びは個人的にお気に入りです(笑)

御題はDiscolo様より



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