■ まるで捻くれた餓鬼

「やあっ!!」

 威勢の良い声が道場内に響き渡る。
「まだまだ蹴りの入りが甘いな、久々知」
 僅かに出来た隙を狙い仙蔵が久々知の体勢を崩しにかかる。
「…くっ、」
「勝負有り、だ」
 激しく肩を上下させる久々知とは裏腹に仙蔵は疲労を感じさせない涼しい顔をしている。
「おまえは無駄な動きが多すぎる。それではすぐに殺られてしまうぞ?」
「……精進します」
 勝てるなんて毛頭思っていなかった久々知だったが、ここまで完敗してしまうと流石に一抹の悔しさが一心にこみ上げてくる。
「対術のセンス自体は悪くないから鉢屋か竹谷にでも相手してもらえ」
「…余計なお世話ですよ」
 制服についた砂埃を払い仙蔵に向かって軽く一礼すると久々知はさっさと道場を出ていってしまった。


end.
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仙蔵>>超えられない壁>>>久々知
という話でした(笑)
SS企画も第七弾です。
久々知は仙蔵のことがあまり好きでない気がします。妬みとかではないんですけど実力差を自分でも自覚してるけど認めたくないみたいなそんな感じです。

御題はDiscolo様より

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