休日出勤じゃないですかー! やだー!

「聞いてよ名前氏、ウンコが爆発した」
 妙に緊張した面持ちで、何を言うかと思えば。

「下ネタとか珍しいねキング氏」
「いやいやいや」
 何だ、便器が詰まったとかではないのか。
 名前の下品な想像とは裏腹に、キングは特にアンモニアの臭いもしなければ、別段汚れてもいなかった。いつものキングである。ついでに彼の名誉の為に言っておくが、キングは普段下ネタは言わない。むしろそれは名前の役目だ。エロゲーをしているキングの傍らで、「これ痛そうだなー」とか言ったりとか(その後、彼は名前の前では18禁ものをしなくなった)。
 それほど重要な話ではなさそうだ、と、名前は手元のPSPに向き直った。白衣のイケメンが私を待っている。
「今日俺アニメイトに行ったんだけど」
「ああ、アイマスの発売日だったね。それで?」
「F市まで行ってきたんだ」
「特大ポスターだっけ? F市のとこのは」
「うん。それでさあ、あそこに金のウンコビルあるじゃない。ゼニールの」
「うんうん」
「あの天辺のウンコが急に爆発したんだ。ほんと、もう吃驚したよ」
「へえー」
「名前氏信じてないの?」
「まさか。そう聞こえたの?」
 問い返せばキングは沈黙した。あ、今の台詞見てなかった。まあこれ三週目だしもう良いかな。

「で、どんな風に爆発したって?」
「それがさ、ほんと何の前触れもなく、バラバラになって」
「へえー……怪人でも居たのかね」
「どうだろうか……」
「まあ良かったじゃん。珍しいもん見れて。話のネタになるよ」名前が言った。「ところでキング氏テレビ使う? 私これやってるから良いよ、ご自由に」
「マジで? ありがとう名前氏」
「どういたしまして」
 名前氏のテレビはでかいから良いよね、とキングが言った。そりゃ、ゲームするためだけに存在してるからな。

 このゲームほんとクソだなー!と名前が叫んで、可愛い妹達とキャッキャしているキングに蹴りを入れるのは、これから三時間後のことである。

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