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simple is the best!


::桎梏、騎馬戦後

※若干下ネタ

 障子目蔵は足元からの呼び声に、視線を下へ向けた。呼んでいるのは当然峰田で、何の用かと耳を澄ます。
「穴黒、おっぱいやべえぞ」
 何言ってんだこいつ。


 他の生徒が――しかも、A組の生徒ばかりじゃなかった――聞き耳を立てていることに気付いているのかいないのか、峰田は言葉を続けた。
「そんな馬鹿なって思うだろ? いやさ、めちゃくちゃやわけぇんだよ。オイラ感動したね。色々総合して八百万が一番かなって思ってたんだけど、穴黒もやべえよ」
 アナクロッパイやべえよと、峰田は呟いた。こいつ、単語まで作っていやがる。
 障子が何も言わないことに気付いたのか、峰田は顔を上げた。もしかしてエロいのダメな奴?と尋ねてくる辺り協調性はあるのに、こいつはどうしてこうなのか。
 障子は考えた末、腕の一つを口に変化させた。そのまま峰田の耳元に近付ける。
「峰田」触手の口が言った。
「おう」
「穴黒はな、尻もやべえぞ」


 障子ちゃんもそんな事言うのね失望したわ、と、ちょうど戻ってきた蛙吹が吐き捨てるように言った。隣には穴黒も立っていて――会話を聞いていたわけではないのか、単純にそういう発想に至らないのか、何の話?と首を傾げている――やや焦る。しかしながら本人が現われても話を続けようとする辺り、峰田はなかなか大物だ。ちなみに峰田は、そのまま蛙吹にスパンと叩かれた。

 穴黒は峰田と蛙吹のやりとりを別段変には思わなかったようで、特に気にした風もなく障子にジャージを差し出した。「切島くんに切ってもらったよ」という言葉通り、確かに彼女のジャージはあたかもハーフパンツのようになっている。
「俺の方を切れば良かったろうに」
「ううん、そんな事できないよ。ほんとありがとうね障子くん」
 ニコニコと笑って自分を見上げる穴黒に、障子は峰田の言葉を思い出した。障子が黙り込んだのを不思議に思ったのか、穴黒は「障子くん?」と微かに首を傾げる。


「……何でもない」
 知ってるか峰田、俺の視界だと女子は大分やばいんだ。穴黒に限った話じゃないが。
 

2013.11.30 (Sat) 07:20
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