memo
simple is the best!


::デセール主と、隣に住んでるお兄さん

 ポケモンバトルを教えてくれと頼まれた。元ジムリーダーとして悩めるトレーナーを放っておくわけにも、何より女性の頼みを断るわけにもいかない。決して、おいしそうなタルトレットに釣られたわけじゃない。
 諸事情で――なみのりが必要だったり、交換したポケモンにいうことを聞かせたりと、トレーナーでなくともバッジが必要になることは多い――ポケモンジムに行かなきゃいけなくて、でもバトルが苦手なんですと恥ずかしそうにお隣さんは言った。そんな彼女に癒されたことは確かだ。それなのにだ。
「ゴローニャ、ストーンエッジ!」
 鋭い岩々が突き刺さり、ファイアローは呆気なく地に沈んだ。言葉も出ない。バトルが苦手なんです、と言ったのは聞き違いだったのだろうか。それともジョウト特有の謙遜?
 そりゃ、此方が得意としているのは飛行タイプで、彼女の手持ちはゴローニャにチゴラス、相性は悪い。しかしあのゴローニャ、レベルが高過ぎやしないか。彼女の足元でこっちを睨んでいるチゴラスはそうでもないが、反面ポテンシャルが高いのは否定できない。

 ファイアローをボールに戻しながら、「誰がバトルが苦手だって?」と問い掛ければ、彼女はあなたがバトルを上手く運んでくれるからですよと小さく笑った。これはバトルの練習などではなく、本格的にバトル相手になってやった方が良いかもしれないと、久々にジム戦を行う時の気持ちを思い出した。
 

2013.11.25 (Mon) 18:54
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