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simple is the best!


::僕罪、ジェノスの日記(抜粋)

 サイタマ先生が女性を連れて帰ってきた。名は○さんといい、先生の元同級生らしい。どうやら家を失くした為、このマンションに住むことになったようだ。恐らく先生が提案したのだろう。先生は懐の深さも他の者の比ではない。それが先生の強さに繋がるのかもしれない。俺も○さんには親切にしようと思う。


 先生が壁に穴を空けた。何でも、○さんの悲鳴を聞いて思わず手が出たのだとか。人命の救助を優先するサイタマ先生は素晴らしい。ついでに、○さんの悲鳴の原因は虫だったらしい。虫を苦手とする女性は多い。
 ただ、気に掛かることがある。次の日になっても、先生が修理の者を手配しなかったことだ。事情があったにせよ、穴自体は先生が空けたのだから、先生が直すべきだと思うのだが。尋ねると、○さんと相談した上で暫くあのままにしておくことにしたそうだ。金銭的都合らしい。俺が払うと言ったのだが、先生は承知しなかった。おそらく、何か俺の計り知れない理由があるのだろう。やはり先生は素晴らしい。しかし○さんも○さんで、大らかな人だと思う。


 今日の昼食は外でうどんを食べた。○さんも一緒だった。先生は存外○さんと仲が良いようだ。○さんはどうやら俺がヒーローをしていることは知っていたらしい。先生のことを知らなかったことは許し難いが、手放しに褒められること自体は悪い気がしない。
 食事の際、後半からサイタマ先生が黙りがちになったことが気掛かりだった。後で尋ねてみれば何でもないと突っぱねられてしまった。


 今日、○さんに「隕石を壊したのは誰か」と尋ねられた。先生はそれを知られたくなさそうだったので、知らないと答えておいた。あの場に居たのかと尋ねられたので、それには肯定しておいた。○さんは丁寧に礼を言って帰っていった。


 海人族にやられたパーツは、すぐにクセーノ博士に直して頂いた。サイタマ先生の元へ帰ったのは次の日になってからだ。家の中に見慣れない、女物のハンカチが落ちていたので、どうしたのかと尋ねたら、先生は暫く考えた末に「○のじゃねえかな。あいつ、忘れてったな」と仰った。時々は長めに家を空けた方が良いのだろうか。
 

2013.09.20 (Fri) 23:56
連載番外365|comment(1)

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