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::わたふこ主とクロビカリと舞台裏

 S級ヒーローが招集される時は、厄介事が持ち込まれる時。そんな口コミが広がったのは仕方のないことだった。この日の招集も、例にもれず厄介事だった。

 発起人はS級七位のメタルナイト。彼の分析により、災害レベル“竜”の発生に何度も遭遇する一人の人間が明らかになった。異様に強レベルの怪人と遭遇するのは何の変哲もない女子高生で、メタルナイトを始め、何人もの科学者が頭をひねらせている。どうしてなのかと。
 しかし問題は、その女子高生が怪人と遭うことではない。その女の子を見張っていれば、高レベルの怪人による被害を最低限のものにできるのではないかということだ。集まったS級ヒーローは全員ではなかったが、彼女の事を気に留めておくことが約束された。


 その子本人の安全を無視してはいないかと、そう思ったのは何もクロビカリだけではなかっただろう。手渡された資料に載っていた女の子は、メタルナイトが報告した通りごく普通の女子高生だった。しいて言えば、見覚えがあることが普通ではない唯一の事だろうか。
 生徒手帳の写真か何かだろうか、硬い表情をしている女の子の顔を見ながら、クロビカリは先日会ったばかりの彼女のことを思い出していた。危うく死にかけたというのに、平然としていた女の子のことを。あの違和感はそういう理由だったのかと、クロビカリは小さく頬をかいた。
 

2013.07.22 (Mon) 11:50
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