memo simple is the best! ::わたふこ主とフブキともしもの話 この少女はよく自身を不幸だと称した。 フブキが○と知り合って−−名前を知ってから二月ほどが経過しただろうか。自分を不幸体質だとあっけらかんとして告げる彼女は、フブキの目には疎ましくも羨ましくも写った。 「私もどうせなら、フブキさんみたいに超能力者になりたかったなあ」自分を慕っているらしい彼女は、時々そう呟くことがあった。フブキは彼女の漏れ出た本音を、いつも聞かなかったことにする。 フブキは○のことを年下の友人として好いていたし、○の方もヒーローは好きじゃないと公言している割にはフブキにじゃれついてくることが多い。二人は歳の離れた友達として、それなりに仲が良かった。 無い物ねだり。フブキも○も互いに口にしなかったがわかっていた。 ヒーローになる前、高校で組織を作る前、初等教育を受けるずっと前から、フブキには超能力者としての孤独が付き纏っていた。同じく超能力者である姉はそもそも次元の違う世界に立っており、こんな力などなければ良かったのにと思ったことも少なくなかった。 ○の周りにはいつも誰かが居た。フブキは確かにサイタマ宅での○しか知らなかったが、フブキにはこうして全てを曝け出せる友達など居なかった。 この子がもし、私と同じ年だったら、もっと仲良くなれていたかしら。答えはおそらく否だが、フブキがそう考えたのは一度や二度ではなかった。 back ×
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