白翼長編 | ナノ




しばらくその幼稚な行為を続けていると、ズボンで携帯が震えた。無視してやろうとするも、やかましく鳴り続けられるとそうにもいかない。

PiPiPi──…

唇を離し、ポケットで震え続ける携帯に、少し苛つきながら電話に出る。



「……はい、」

『…、…っ、』

「カンナならいるよ。うん、いまから帰る所。…はは、母さんは心配症だな」

『……いる、…に…っ、』

「すぐ戻るよ」



携帯を切れば、顔を真っ赤にしたカンナが不安そうな瞳でこちらを見つめてくる。目尻に残った涙に唇を落としてやると。



『……、…!』

「さあ、帰ろうか」



こくん、と頷くカンナの頬を撫でて、前髪に唇を落とす。

母さんに知られることを恐れているのだろうか。ヒステリックを起こして、大変だろうな。

だけど本当に問題なのは親父の方だろう。なぜかカンナにかなり入れ込んでいる。なんでも不自由なく暮らせるように、母さん以上に甘やかしてる。

見方につければかなり心強いが、敵となればかなり手強い。

カンナがオレと同じ気持ちになって、求めてくれるようになれば、きっと親父も見方についてくれるだろう。なかなか、長丁場になりそうだ。


END

(4/4)
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