家を離れている間にできたというおしゃれな喫茶店に入った。甘酸っぱいベリーソースのかかったレアチーズケーキを口に運べば、幸せに満たされた気分になる。向かいの席に座るイルミはブラックコーヒーを飲みながらカンナを見て薄く笑っている。 「あ、イルミ◇」 その空気をぶち壊すやつがやってきた。急にぷに、とイル兄のほっぺたに滑らかな長い指が突き刺さる。派手な髪色と、顔に施されたペイント、奇抜な服をきた男がにこにこしながらイルミの名前を読んだ。 『…友達?』 「ただの知り合い」 ぶっきらぼうに一言だけ呟く声とともにカタリ、とテーブルの上のカップが揺れた。イルミは相変わらず無表情だが、凄く不機嫌そうな顔で珈琲を啜っている。そんななかお構い無しに、奇抜な彼はカンナの顔をジロジロみて、口を開いた。 「キミがカンナちゃん?☆」 『あ…、はい』 「イルミ全然会わしてくれないから。予想外に綺麗でびっくりしたよ◇」 「……」 イルミの隣の席に座った彼は肘をつきながら舐め回すようにをみる。ゾクリ、と背筋に悪寒が走る。 「…ヒソカ、きて」 「えー、まだ見てたいのに…☆」 「いいから!」 ぐい、とイルミが彼の腕を強引に引っ張り無理矢理たたさせる。ヒソカ、と呼ばれた男は嫌がる様子もなくむしろ嬉しそうに笑みを浮かべてなすがままになっていた。そしてその光景を不安そうに浮かべるカンナにウインクさせしてみせた。 ×
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