白翼長編 | ナノ







一瞬に膨張させて、この子を閉じ込めるのが作戦だったが、少女はいつの間にか消えた。逃げたか闇に乗じたか、落ち着いて目線だけを左右に動かすが何処にも見当たらない。私の髪が上下に揺れた。






『(上ッ──…!!)』

「お、ヤルじゃん」






キィ───…ン

彼女は私の上空に居たらしく、私はキューブを作っていた手の方を狙われナイフを突き刺された。避けるが背中から馬乗りにされ、地面へ叩き付けられる。即座に反撃しようとするも両手両足を拘束され動けない






「あんた誰?」

『(畜生慣れてやがる、言える訳ねぇだろが)』

「正体吐くまで3秒毎に刺してくから」







髪を捕まれ耳元でそう呟かれた途端に背筋にゾクゾクとした悪寒が走った。チクリ、とした痛みと共に彼女は予告通りにナイフを腕に浅く突き刺した。三秒経てば刺した所から少々ズラしてまた突き刺される。






『───…!!!』






マジで刺しやがった

生温かい液体が肌を伝い床にポタリ、と落ちる、秒刻みに的確に突き刺される所為により量は時間と比例して増す。口を必死に閉じて悲鳴は耐えるけど荒くなった息使いを隠すことが出来ない



―――また、突き刺さる





(5/6)
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