白翼長編 | ナノ







いつの間にか自分の目の前に移動していた咄嗟に避けたがあと少し遅かったら確実に殺られていただろう。彼女のナイフは私の心臓ど真ん中に定められていた。





『(意味わかんない、しかも何気にコイツ強いじゃん)』





私は強くなると決めたんだ。今日は使うつもりなかったけど仕方無いだろう、指先に念を溜めていく。正方形の小さなキューブを手の平に生み出し大きくしていく。彼女は警戒することなく、むしろ面白そうに眺めている。





「面白いね」

『(こんにゃろう)』





両者数秒の沈黙の後、先に動いたのは彼女の方だった。躊躇いもなくナイフを持ち帰え、銀色のを一本私の手の方へ向かって投げつけた。





『(早──…!)』





キューブを盾に避け受け止めるとナイフはくぷり、と内部へ埋まった。吸い込まれるようにナイフはもうキューブの中の物になってしまった。私の能力はこのキューブ。キューブの中に閉じ込めれば私の意思の続く限り脱出は不可能。






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