フィルモアに棲う悪夢を駆逐すべく、町の北東に出現した巨大穴を訪れた俺、神―。 「いよっしゃー!やってやるぜ!」 再び石像へと魂をやつし、魔物どもをぶったぎってゆく。 人間たちのためにがんばらねば。それが、神としての運命(と書いてさだめと読む)だよな。 「地下だからか湿っぽいな…というか、モロ水溜まりだし」 ざば、ざば、と膝まである水溜まりを大股で突き進んでいく。その間にも、魔物は襲いかかってくるので、容赦はしない。 特大イモムシを切り裂いて(これが成虫になったら…というのは考えたくない)、毒矢の吹き出る悪趣味なオブジェを叩き壊し、しっぽの尖った骨の犬も逃がさない。 細い谷間を右、左、と交互に蹴り上げテンポ良く登っていくと、天井が岩の刺に覆われた一本道に辿り着いた。 その先には、階段が見える。 落下してくる刺に当たらないよう一気に駆け抜けて、その勢いで階段も昇って。 辿り着いたのは、夜に包まれた月明りの広場。 「地上に出たか…なんだこれ、綺麗じゃん」 幻想的な景色に、思わず心奪われる。襲いかかってくる下等魔物も出て来ないし、いやに静かだ。 こんなところにミノタウロスなんかいるのか? と、思いきや。 『神さま!来ます!ミノタウロスです!』 ズドゥン! 轟音と共に空から降り立った魔物、ミノタウロスがフィルモアを恐怖に貶めた魔王の眷属らしい。 「このブーメランパンツが?!」 がっちりむっちりした美しい筋肉を、惜し気もなく晒した牛頭の大男だ。 手には重そうな金の斧を持っている。 「ガチムチが呪いとかぁ!似合わねーんだよ!!」 振り上げられた斧を躱し、カウンター攻撃。 2撃は食らったミノタウロスだが、3撃目は弾かれてしまった。 「クッソ…!」 〇わかりやすい力の差 神 ||||| ミノタウロス ||||||||||||||||||||| 「勝てんのこれー?!」 top |