み ず か
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(む)胸の中にか空の上にか  

思い出はいつもその横顔の向こう側にあった。
海に落ちる燃えるような夕日。
古びたトンネルを抜けていく3両編成の路線。
巻き上げるような風と高い空と夏の匂い。
眩暈がするほど愛しく思える時間のすべてを、あなたは一緒に持って行ってしまった。
あなたを失くした視界の先は、欠けることなく霞んで映る。
あの頃つぎはぎだった世界の風景は、あなたがいなくなって初めてつながって見えた。
けれどどうしてだろう、つぎはぎの世界の方が美しく思えるのは。
そんな愚かな問いに答えてくれる誰かがいるはずもなく、静かに自分のレンズを閉じた。
[ 永久に眠れ ]  8th,March,2013
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