拾遺 | ナノ



爆風によって飛ばされた長槍と輪刀が毛利の背中に突き刺さる。

「!!」

あまりの衝撃に息が止まる。

「…!!がっ!!」

長槍と輪刀が背中に刺さったまま、重さで落ちた。

耳に届くのは服と皮膚が裂ける音。背中に焼ける様な熱さを感じながら、自分の倒れ込む先を見るとそこには…、



満面の笑みを浮かべた長曾我部が、両手を広げて立っていた。



辺り一面に漂う、硝煙の匂いと油の匂い。

そして、鉄錆の匂いに肉の焼ける匂い。

夥しい人の残骸の中、静かに笑むその姿は…



『真の、鬼、か…?』



そのまま抱き止められた。

「…うっ…ごほっ!」

喉の奥から血がせり上がってくる。

『内蔵まで届いたか?』

段々と意識が遠退いていく。すると、長曾我部の手がおもむろに毛利の顎を捉え、そして強引に口付けてきた。

じゅるっ

「んン!」

毛利はその行為に戦慄く。

『血を呑んでいる!?』

驚きに目を開いていると、長曾我部は舌で唇を拭いながら、恍惚の表情でこう言った。

「極上の蜜、持ってんじゃねーか。」

花が欲しくなったと、この男は言っていた。今更ながらその言葉が空恐ろしくなった。

知らず震えている毛利を見て、長曾我部は優しい笑みを浮かべながら、

「大丈夫だ。ちゃんと綺麗に飾ってやっから…。」

と、また的外れな事を言った。





毛利が意識を繋げていられたのは、そこまでだった。






- 5/6 -

[*前] | [次#]
しおり


トップへ
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -