参
剣騒が辺りを支配する。
互いに斬り込んでは返し、斬り込んでは返しを繰り返す。
周りに居る兵士達は手が出せずにいた。
大将同士の一騎討ちだという事もあったが、何より爆弾兵の数が多過ぎる。
早急に勝敗を決したかったのか、長曾我部はこの戦に大量の爆弾兵を投入してきた。
ギィン!!
変化の無かった斬り合いに変化が起きた。
長曾我部が己の長槍を毛利の輪刀に投げ込んだのだ。
そして、投げ込む際に柄に隠していた短刀を握り込む。
武器ごと身体を後方に持って行かれかけたが、毛利は咄嗟に輪刀の繋ぎ目を外す。片割れだけになった輪刀を前方に構えて、土を蹴り長曾我部に向かって行く。
『獲物の長さなら此方が有利。短刀を投げてきたとしても、腕で防げば良いだけの事…。中々進展しない死合いに焦れて自棄を起こしたか…、獲物を投げる等…。』
「長曾我部元親、愚かなり。」
まだ毛利の片割れが届かない位置から、長曾我部は短刀を投げた。
「!?」
毛利に向かって…、だが、毛利よりも遥か後方に…。思わずその短刀を視線で追った毛利は驚愕した…。
毛利の後方に居たのは、
爆弾兵だった。
爆弾兵のこめかみに、短刀が突き刺さる。動く事を強制的に止めさせられた爆弾兵、そしてその前にあるのは…、
長曾我部の長槍と絡め取られた己の片割れ。
「…しまっ……!」
長曾我部が何を狙ったのか、気付いた時には爆弾が爆ぜていた。
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