拾遺 | ナノ



そして、一息に己の陰茎を根元まで埋め込む。

「くっ!あ、…あああっ!」

達したばかりで敏感になっていた元就は、堪らず叫声を上げた。

だが、元親は構わず己の欲望を吐き出すかの様に、腰を動かし続ける。

「あっ、はあっ…ん!はっ…うっ…く、ククッ…」

すると、次第に元就の肩が揺れ始めた。

「ふ、はっ…はハハハッ」

急に笑い出した元就に嫌悪を抱いて、元親の動きが止まった。

「何、笑ってやがる」

「ククッ…」

元親の嫌悪の視線を受けながら、元就は尚も笑い続ける。

「オイ…」

さすがに頭にきた元親が掴み掛かろうとした時、

「貴様、何故そんなに生にしがみ付く?」

元就が嘲笑を浮かべて問い掛けてきた。

「何故、生きようとする」

そして、更に問い掛ける。

「なに、を」

その問いに、元親は一瞬眉を顰め、身体を強張らせた。

「あのまま呆けておれば、楽であったろうに」

元就が今日最初に目にした、あの覇気の無い元親の事を指す。無気力で、只生きているだけの…。

それが、怒りによって感情が戻り、今こうして、無理矢理に生を感じようとしている。

生きている実感を持たせるには、肉体に直接的な刺激を与えれば良い。

今、二人が行っている様な事を。

「…呼び戻したのはお前だ」

元親は、目を細めながら元就の頬に触れる。

「……」

「放って置く事も出来ただろ」

元親の言う様に、確かにあの時、何も言わずに去る事も出来た。

「…石田からな、会う度に貴様に対しての恨み言を聞かされる…いい加減面倒だ」

元親から目線を反らし、元就は嘯(うそぶ)く。

「…そう云う事にしといてやるよ」

そう言って見せた笑顔は、何時もの元親のものであった。

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