伍
そして、一息に己の陰茎を根元まで埋め込む。
「くっ!あ、…あああっ!」
達したばかりで敏感になっていた元就は、堪らず叫声を上げた。
だが、元親は構わず己の欲望を吐き出すかの様に、腰を動かし続ける。
「あっ、はあっ…ん!はっ…うっ…く、ククッ…」
すると、次第に元就の肩が揺れ始めた。
「ふ、はっ…はハハハッ」
急に笑い出した元就に嫌悪を抱いて、元親の動きが止まった。
「何、笑ってやがる」
「ククッ…」
元親の嫌悪の視線を受けながら、元就は尚も笑い続ける。
「オイ…」
さすがに頭にきた元親が掴み掛かろうとした時、
「貴様、何故そんなに生にしがみ付く?」
元就が嘲笑を浮かべて問い掛けてきた。
「何故、生きようとする」
そして、更に問い掛ける。
「なに、を」
その問いに、元親は一瞬眉を顰め、身体を強張らせた。
「あのまま呆けておれば、楽であったろうに」
元就が今日最初に目にした、あの覇気の無い元親の事を指す。無気力で、只生きているだけの…。
それが、怒りによって感情が戻り、今こうして、無理矢理に生を感じようとしている。
生きている実感を持たせるには、肉体に直接的な刺激を与えれば良い。
今、二人が行っている様な事を。
「…呼び戻したのはお前だ」
元親は、目を細めながら元就の頬に触れる。
「……」
「放って置く事も出来ただろ」
元親の言う様に、確かにあの時、何も言わずに去る事も出来た。
「…石田からな、会う度に貴様に対しての恨み言を聞かされる…いい加減面倒だ」
元親から目線を反らし、元就は嘯(うそぶ)く。
「…そう云う事にしといてやるよ」
そう言って見せた笑顔は、何時もの元親のものであった。
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