拾遺 | ナノ



唇が額へと移動する。

そして、瞼に口付けし、鼻筋を通り元就の上唇を己の唇で挟む。手は乳突を柔らかく撫で、首の後ろを支える。その間唇は顎を伝い、そして喉を甘噛みしてきた。

『もう少し、性急に事に及ぶかと思っておったが…』

元就は、随分と丁寧な前戯に、ふと元親の唇が辿った箇所を思い返す。

『額、目、鼻筋、人中、顎に喉…』

そして、今は胸。手は肋を撫でている。

「…嫌味か」

元就が小さく洩らした言葉に、元親は喉を鳴らして笑う。そして、唇を胸の突起へ移し、舌を這わせた。

「う…ん」

唾液を含ませ、更に念入りに舐めてくる。もう片方の乳首は、人差し指で強く押し潰す様に捏ね回している。

「あっ…うぅ…ン」

久方振りの行為のせいか、少しの刺激でも感じる程敏感になっている様だ、と元就は自然と洩れる己の声を、ぼんやりと聞いていた。

「集中しろよ」

その虚ろげな態度が気に障ったのか、元親が自分の股座を元就の股座に押し付けてきた。そして、数回腰を動かし刺激を与える。

「うあ…あ!」

布越しでも分かる元親の猛りに、元就は軽く目眩を覚えた。

「気持ち良くなってきたか?」

そう言い、元親は元就の袴を手早く脱がせて下半身を露にさせる。

元親は、現れた元就の陰茎を軽く掴み、裏筋を舐め上げた。

「ふあっ…!」

そして、一気に根元まで咥え込む。

強く吸い上げては離しを繰り返し、元就の快楽を嫌でも引き出していく。

ジュブジュブと聞こえる水音が、元就を羞恥に染める。

「あっ…!はぁっ…ん!」

段々と呼吸の間隔が短くなり、元親の口内にある元就の陰茎が脈打ち出す。

限界が近い。

それを察知した元親は、勢い良く吸い上げた。

「は…あああぁ!」

元就は絶頂を迎え、元親の口内に精を放つ。

「濃いな…」

放たれた元就の精と、己の唾液が混ざったモノを指先に垂らし、達したばかりで脱力している元就に遠慮する事もなく、その蕾に擦り込み出す。

元親はゆっくりと、形を確かめる様に指を弄らす。

「あっ…、うぅン…」

一本、二本と次第に差し込む指を増やし、徐々に蕾を広げていく。

「もう良いか…」

三本になったところで指を抜き、元就の膝を持ち上げて熱(いき)り立った自分自身を、開きかけた蕾に宛がった。

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