十
「何が可笑しい?」
元親の自嘲を別の意味で捉えたらしく、元就が更に睨め付けてくる。
だがその表情は、目尻に溜まっている涙のせいで、元親には妙に色っぽく映った。
「恐いくせに強がってるお前。」
心にも無い事を言って、再び膝を動かす。
「な…っ!?ふあっ…やっ…あ。」
快感を散らす為か、元就が頭を左右に振ると、その所為で涙が流れ落ちた。
元親はその涙を舐めとり、そして元就の太股の形を確かめる様に右手をゆっくりと下ろしていく。
「…勃ってんじゃねーか、ほら。」
そう言って、隆起している敏感な部分を中指で突いてやった。
「あんっ…!」
「可愛い声だな。」
羞恥に顔を赤らめる元就を無視して、元親は更に指の動きを早める。
「あ、あぁっ!やめ…っ、元親!」
元就は何とか引き離そうと腕や肩を押すが、全てが徒労に終わった。
「無駄なんだよ。なあ元就、いい加減諦めな。」
元親はショーツの隙間から指を差し入れ、襞の部分を撫で伝う。
「もう、此処まで漏れてきてるぜ。」
陰液を掬い取り、今度は直に陰核を攻めてきた。
「くっ…う…!」
「こっち、触って無いのに固くなってるし。」
そう言って、触れていない方の乳首を口に含み、舌で転がす。
「んん…っ!」
舐めながら元親は元就を、ちらりと盗み見た。
下唇を噛み、声を出すまいと必死に堪えている。そして、その目は元親を睨み付けたままであった。
『そうだ…。』
胸から手を離し、今度は両手で下肢を攻める。
右手の指で陰核を刺激し続け、左手の中指と薬指を陰門に突き入れた。
「くっ…!」
そして、無遠慮に元就の胎内(ナカ)を掻き回す。
「あっ!ああっ!」
『恨まれても構わねえ…。』
とにかく、“元就が持っている支配欲が全て自分だけに向けられれば良い。”元親はそう考えた。
だが、その為にはどうしたら良いのかと考え、思い浮かんだのがこの行為であった。
「あっ!やあぁぁっ…!」
耐えられなくなったのか、元就が声を上げて、元親の指を締め付け限界を見せる。
そして、身体を震わせ、そのまま力無くベッドへと沈んだ。
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