一
キーンコーン…。
終業を告げる鐘が鳴り、教師の言葉によってクラスメート達が、ある者は帰る為、又、ある者は部活動の為、各々に散らばって行く。
長曾我部元親は、ふと隣の席の毛利元就を見た。
机に突っ伏し、静かな寝息を立てている。
「おい、元就。ホームルーム終わったぞ。」
元親は、その細い肩を掴んで軽く揺さぶった。
「…ん…。」
元就は、気怠そうに顔を上げ、寝惚けまなこを元親に向ける。
「…元親か。何だ?」
暫く沈黙して、漸く出た言葉に元親は盛大な溜め息を吐いた。
「もう、下校時間だ。帰るぞ。」
「そうか。」
そうして、元親はまだぐだぐだしている元就の手を取り、帰路に着く。
これが、二人のほぼ毎日の日常であった。
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