裏黒 | ナノ



ガタン!!


男に連れて来られたのは、普段、人があまり出入りしない別館の空き教室だった。


「…よく言う事聞くからよ、甘くしてたのが悪かったか?」

「…。」


甘かった事等無い。心の中で、そう思う。


「ちと、調子に乗ったな…毛利。」


だから、それは私の名字では無い。


「男だったら、結構な屈辱だけどな…女もかなりなモンか?」


一人心地に何かを呟いている。


「?」


今から、自分は何をされるのだろうか?

怖い…。


そう思っても、逃げられなかった。















「…んっ!」


声を抑えても、漏れてしまう。


ちらりと、男の方を見る。


…自分の胸を舐めている…。


両手で、それぞれの乳房を持ち上げるように揉みしだく。舌で片方の乳輪の形をなぞるように舐め、もう片方の胸は人差し指と親指で乳首を摘まみ捏ね回す。


ぢゅっ!ぢゅる!


わざとらしく、下品な音をたて、さっきまで乳輪を舐めていた方の乳首を吸い上げる。


「アッ…!…あんっ…!」


堪らず、声をあげると


「へっ、いっちょ前に感じてやがる…。」


侮蔑を含んだ言葉が返ってきた。


「女になったら、氷の面も剥がれっぱなしだなぁ。なぁ、毛利さんよぅ…。」


男が言う事は、自分には1つも理解出来なかった。


一体誰の事を言っているのか…。


「んっ!くっ…ふぅ…。」


不意に口を吸われる。


「…!んっ…やっ…!」


思わず拒絶の言葉が出た。

しかし、




バシッ!!





「…約束、したろ?」


あの時よりも、強く叩かれた。


又、口の中に血の味が広がる。


恐怖に震えていると、


顎を掴まれ、唇を重ねられる。


「…んっ…。」


指で無理矢理口を開けられ、舌をねじ込まれた。


歯列をなぞられる感触に、背筋が震える。


「…舌出せよ…。」

いつまでも、奥で縮こまっている己の舌に、痺れを切らせたのか、そう要求してくる。


「…ん…」


言われた通り、舌の先端を突きだす。


それに、男は己の舌を絡めながら、


「オラ、もっと出して俺の舌に絡めろ…。」


と、言ってきた。


『…絡める…?舐めればいいのか?』

ぴちゃっ。

言われた通りに、男の舌を舐めてみた。

「!?んン…!」

突然後頭部を掴まれ、顔が仰け反る。

「…はっ、はふぅ…うむっ!」

相手の舌が口の中で暴れまわる。

『な…、なんで突然!?』

急に性急になった男の動きに、思考が追い付かない。

「はっ…、はぁ…。」

やっと唇が離れ、詰まっていた息を吐き出す。

互いの唇の間に、唾液の糸が伸びる。

それを男は舌で拭って、おもむろに下肢に手を伸ばしてきた。

「!」

ショーツの上から陰部を撫でられた。

触れた途端に、男の口端がつり上がる。

「…何だ?もう濡れてんのか?」

くつくつと、含み笑いをし、

「はっ、この淫乱が…!」

心底呆れたという面持ちを向けられた。

「!!」

羞恥に思わず泣きそうになる。

そんな事はないと言い返したかったが、男への恐怖と、忙しなく動くその指に全ての言葉が遠退いて行く。

「あぁっん!」

陰核を攻められた所で、もうあれこれ考えるのは止めた…。









『何も考えないで、ただ、嵐が過ぎるのを待てばいい…。』

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