裏黒 | ナノ



その男との共通点等無い。


強引にこじつければ、同じ学校に通っているというだけだ。





「よう、毛利…。」

「!」


あぁ、今朝は会わずに済んだと思ってたのに…。


「何無視してんだ?コラ。」


「無視などして…「返事が遅せーんだよ。」



どうしよう。機嫌が悪い。

「…、何か用か?」

声が震える…。


「す…数学の宿題なら、後で渡すから…。」


廊下の窓から入る朝の日差しが、目の前の男の銀髪を照らす。髪の色は生まれつきらしい。背が高くて精悍な顔立ち、面倒見が良く、優しい性格。成績も悪くはない。学校の内外問わず、慕う者が多い。


この男が…、







私は怖い…。







「宿題はどうでもいいんだよ。」


怯えて顔が見れなくてつい、俯いてしまう。


「最近お前、俺の事避けてねぇ?」


なるべく会わない様にと、段々登校時間を早くしたのが裏目に出た…。


「避けてなど…。」

「嘘付け。こんな朝練が始まる前から学校に来る奴なんざそういねーぞ。お前クラブなんも入ってねーだろ?」


「…あ、あの…。」

咄嗟に言い訳も出ない。


「こっち来い…。」


「…!」


そう言いながら、腕を掴まれた。









あの時の恐怖が甦る……………。

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