裏黒 | ナノ

十二(慶次視点)

“命短し人よ恋せよ!”

をモットーとしている慶次は、二人の反応を見て、俄然張り切り出す。

「好きになった切っ掛けは?共通点無さそうなのに。」

恋バナも好きだが、正直な所、艶聞が絶えないこの二人が、何故元就に好意を寄せているのかが気になった。

あからさまな野次馬根性を見せる慶次に、二人は仕方なさそうに

「…幼馴染みなんだよ。」

と、小声で言った。

「幼馴染み?」

慶次は、三人のまさかの接点に、つい聞き返す。

「…そのわりには、ナリちゃんの話題に出てきた事ないなぁ…。」

言ってから、慶次は慌てて自らの口を両手で塞いだ。

恐る恐る二人に視線を向けると、少なからずショックを受けたのか、何とも言えず情けない顔をしていた。

「いや!あの!まあ、あんまりナリちゃんとは男の話とかしないしっ…!」

慶次は自分の失言のフォローをしようと、言葉を探すが何も浮かばず気だけが焦り、余計に頭がこんがらかる。

「…いいよ、分かってるから。」

「Ah.今更だ…。」

すると、諦めきった声音で二人が溜め息混じりに呟いた。

「…今更?」

「ずっと、放って置いたからな…。」

「昔みたいに仲良く、とはいかないのは分かってる…。」

何時もの快男児振りが嘘のように、暗い顔を見せる二人に慶次は憐察を感じた。

「男っ気所か、友達すら居なかったのにな…。」

感じていたら、ジロリと、右目に睨まれる。

「いつの間にか、な?」

続いて、左目に睨まれる。

「いやいやいや!俺とナリちゃんは、そんな関係じゃないって!」

また、悋気の矛先がこっちに向き、慶次は慌てて否定した。

「の、割には仲良さ気じゃねーか…。」

「Yes.デートまでしてるしな…。」

「もうー!疑うんなら、ナリちゃんに直接確かめたらイイじゃん!」

慶次のその一言に、二人は固まる。

「確かめるたってよう…、いきなり聞ける訳無いだろ。」

先程までの剣呑な空気は何処へやら。

元就の名前を出すと、途端にしおらしくなる二人を見て、慶次の心の中にお節介な思いが頭を出す。

「ナリちゃんが言ってたけど、明後日から家に一人きりなんだって…。」

そして慶次は、今日の昼食時に聞いた元就の情報を二人に教えた。

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