裏黒 | ナノ



茜色だった空が、今は群青色に染まっている。


「…あっ、ンッ…!」

先程から自分を組み敷いている男の姿を通り越し、明日も晴れるだろうと、明後日の事を考える。


今、自分の置かれている状況が異常過ぎて、思考が追い付かなかった。


『…何で、こんな事に…?』


理由等、分からない。






今日の授業が終わり、何処に寄る訳でもなく、ただ家路についた。


何時もと違うところは、道路工事をしていたので、遠回りをしただけだ。


滅多に通らない道で、偶然この男に出会った。


背が高い、染めているのか銀髪の男だった。


珍しい風体だと、ちらりと男の方を見る。


「?」


モトナリは首をかしげた。


その男が、こちらを凝視していたのだ。

そして、近付いて来たかと思うと、そのまま腕を掴まれて寂れたこの廃寺に連れて来られ、


「んっ…あっ!…やぁ…!」


こうして、犯されている。


廃寺は屋根はあるが一部が崩れ落ち、空が見えている。


床も腐りかけているが二人が居るところはまだましなようだった。


こんな激しい動きをしていても崩れる様子は無い。


「モトナリ、モトナリ…。」

腰の律動を止めること無く、男は譫言の様に何度も名を呼ぶ。


初対面の筈なのに、何故名前を知っているのか…。


自分はこの男を知ら無い。


そう何度も言っているのに、聞き入られる事は無かった。



- 2/12 -

[*前] | [次#]
しおり


トップへ
「#年下攻め」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -