二
翌日。
行動を起こすのなら早目が良いと、元親は早速元就の家へと赴いた。
「あら、元親ちゃん。おはよう。…何か分かったの?」
丁度玄関先で元就の母親とかち合う。
「お早う御座います。ええ…昨日知り合いに聞いたら教えてくれて…。」
元親の言葉を聞いた途端、母親の表情が心配そうに歪む。
「…何て言っていたの?」
「いや、ちょっと言い難くて…。おばさん…元就と直接話ししても良いですか?」
「…そうなの…。ええ、そうね。就も元親ちゃんになら自分から話すかも知れないし…。」
元就の母親は、元親の提案に快く同意してくれた。
「何をしに来た。」
開口一番掛けられた言葉は冷たいものであった。
『ひっさし振りに会ったっつーのになぁ…。』
素っ気無い幼馴染みに少し傷付く。
元就の母親は、パートに行くと言って玄関で別れた。
『簡単に二人っきりにしてくれるとは思わなかったぜ…。まあ、それだけ信頼されてるって事か…。』
元親はそんなおばさんに感謝しつつ、
「お前最近引き籠ってるんだって?」
いきなり本題に入った。
「なっ…!?誰から聞いた?」
「お前の母ちゃん。」
「…余計な事を…。」
元就はバツが悪そうな顔をし、そっぽを向く。
「おいおい、心配してくれてんのにソレはないだろう。」
そう言いながら、元親は元就の隣に腰を下ろした。
「引き籠りなんてつまん無ぇぞ。」
「…おい、くっつくな…。」
元就の言葉を無視して元親は更に身体を寄せてくる。
「元親!」
堪らず声を荒げる元就だが、元親は構わず元就の肩を抱きその細い顎を掴んだ。
「引き籠るとこうやってよぅ…他人と接触しなくなるだろ?」
「!!」
そのまま口付けられる。
「…元親…!やっ…!」
口を開いたと同時に元親に舌を捩じ込まれた。
「んん…!」
元就は何とか逃れようと腕を突っ撥ねるが、女の細腕でかなう筈もなく口内を蹂躙される。
「はぁ…はぁ…。」
漸く唇を解放され、口の端から漏れた涎を拭き、乱れた息を整える。
「!?」
一息着いたと思った次の瞬間、視界が回った。
視界に天井と元親が映る。背中に当たる柔らかい感触に、ベッドの上に押し倒されたのだと気付いた。
「も、元親…何を…。」
「…するつもりかは分かるだろ?」
「!」
元就は元親の顔を見上げた途端、全身に緊張が走った。
『何で…?』
幼い頃から知っているが、その長い付き合いの中でも滅多に見た事がない表情をしていたからだ。
『何で、怒っている?』
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