裏黒 | ナノ



何時もの学校からの帰り道。珍しく幼馴染みの母親に遭遇した。

「あら、元親ちゃん久し振り。今帰り?」

「あ、ハイ。お久し振りです。」

中学校迄は一緒だった幼馴染みだったが、高校が離れてから本人とその家族とは中々会わなくなっていた。

『まあ俺の通っている学校が遠いってのもあるけどな…。』

「…ふぅ。ねぇ元親ちゃん、家の就の事だけど聞いてくれる?」

結構思い詰めた顔で言われたので嫌でも気になる。

「元就がどうかしましたか?」

それが好きな相手の事なら尚更だ。

「最近あの子引き籠っちゃって…。学校で何かあったみたいなんだけど、理由を聞いても教えてくれなくて…。先生方も知らないって言うし…。で、困ってるのよ。」

話を聞いて元親は居ても立っても居られなくなったが、取り敢えず元就の母親には“ソッチの学校に知り合いが居るんでそれとなく聞いてみます。”と言っておいた。

家に帰り、早速その知り合いに電話をする。幸い相手は事の顛末を知っていたがしかし、聞かされたのは元親を不機嫌にさせるには充分な内容だった。

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