「…何で?…何でだと!?」
今まで溜め込んできた激情が堰を切り、一気に溢れ出した。
「貴様が、我から全てを奪ったのであろう!!」
意味のある死を迎えられた筈だったのに…!全て無意義にされた!
「俺は…、何も…」
「…ふっ。確かに、あの時の貴様は無自覚であったな…。質の悪い…!」
「元就…。」
名を呼ばれる事も腹立たしい。
「…丁度良い。この際だ。あの時代、我が貴様の事をどう思っていたか教えてやろう…。」
この時、激昂しすぎて長曾我部の事など目に入っていなかった…。
「我は貴様自身が欲しい等と思…「聞きたくない!!」
全て言い切らない内に長曾我部に首を絞められた。
「…!きさ…!!」
絞めてくる手をもぎ取ろうとするが、
「!!」
力の差がありすぎてそれは叶わなかった…。
結局、又あの男に殺された。
二度目に再会した時は、月明かりに照らされた銀糸を認めた瞬間に記憶が甦った。
何故見付ける?
何故、巡り逢う!
我は、此奴の輪廻の輪に組み込まれておるのか?
「…又、殺しに来たか、長曾我部。」
「…元就…。」
「気安く名を呼ぶでないわ…」
だとしたら何と腹立たしい。
「此処は清浄なる地。貴様の様な不浄の者が踏み入れられる場所ではない。」
「…不浄って?何を指して不浄だと言ってんだ?前世でアンタを殺した事か?それともあの時代に大勢の他人を殺めた事か?だったらアンタだって、不浄の塊じゃねーか…。」
全く腹立たしい…!
「…下衆が…!疾くと去れ!」
長曾我部の懐で何かが光った。
「貴様…!」
月明かりを照り返すそれは…。
「…!去れと言っている!」
まさか、又…!?
「アンタ、今、女なんだぜ?」
!!
銀の切っ先が胸を貫く…。
「…!がっ…!」
「月、綺麗だな…、元就…。」
……ぜ…?
「長…曾我…」
何故…又…?殺される理由が解らぬ…。
「大丈夫だ。俺も一緒に往くから…。」
「…!!」
「元就…愛してる…。」
………。
「次は、上手くやろうな…。」
…次?
「真っ白な状態で…。」
それは、とても小さな呟きだった。
まさか、憶えていたから殺されたのか?