四(モトチカ視点)
二度目に再会した時は、月が美しい夜だった。
家康が天下を統一してから、今で八代…いや、九代目かの日の本。
アイツとあの時代以降、初めて再会したのは、徳川が二代目か三代目の頃だった。
そして、今から二回目の再会をする。
随分と、立派な造りの寺だ。
俺は鳥居をくぐり、境内に入る。
ジャリジャリ、と砂利を踏む足音が静寂を壊す。
ふと、自分以外の気配に気付き、顔を上げると、ほんの数歩先に、逢いたくて堪らなかった人物を見付けた。
その人物は、巫女の装束を身に付けていた。
『…あぁ、又、女に転生したのか…。』
性別は関係無い。
アイツだという事実があれば、それでいい。
俺の魂が、あの巫女がアイツだと、元就だと告げている。
心臓が、嫌という位跳ねていた。
『…どうか、忘れていてくれ…。』
無神論者だが、この時ばかりは神に祈った。
だが…。
「…又、殺しに来たか、長曾我部。」
恐ろしい程、冷たい声。
俺は、軽く落胆した。
初めて再会した時も、元就は女に転生していて、あの時代の記憶も持っていた。
俺に殺されたという記憶を…。
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